病気のはなし-6

みなさんこんにちは。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科の今野です。今日は、私が専門にしている「頭頸部がん」についてお話ししたいと思います。

まず、「頭頚部(とうけいぶ)」というと皆さんあまり聞きなれない言葉と思いますが、英語のhead and neck の訳語で、首から上の構造の総称です。頭(あたま)というと日本語では脳とそれを守る頭蓋骨を連想しますが、英語のheadという言葉の意味には顔面や口の中、鼻の中、眼なども含まれており、首よりも上の全てを指します。また英語のneckも日本語の首だけでなく、その中の構造物である、のど(咽頭、喉頭)、気管、食道上部も含んでいます。また、「甲状腺外科」と別に標榜している病院もありますが、当科は甲状腺についても診療を行っております。

では実際、この聞きなれない「頭頚部がん」とは一体どのような癌をさすのでしょうか?一つ例を挙げてみますと、ニュースでご覧になっている方も多いと思いますが、「頭頚部がん」の一つである「舌癌」になった芸能人の方がいらっしゃいます。最初は舌にできた口内炎みたいなものが結局は治らないで、気が付いたら大きくなっており、首のリンパにも転移していたとのことでした。手術は舌の半分以上と首のリンパをとって、舌のとった部分に足の皮膚をとって移植したと報道されていました。この方の例のように、「がん」は知らない間に進行することが多いです。また、進行すると組織を補う手術(再建手術)も必要になります。舌や喉にできものができても症状がないから様子をみるというのは危険です。悪性腫瘍(がん)のサインかもしれません。首の「腫(は)れ」についても、痛くないからと様子をみていたら実はがんが首のリンパに転移していたということも少なくありません。口の中、のどの違和感など、気になる症状があればぜひ当クリニックにお立ち寄りください。

当科は、精密なファイバースコープを導入しており癌の早期診断が可能です。また、320列CT,3テスラMRIなど高性能な画像診断も比較的待ち時間が少なくできます。入院治療については、北海道大野記念病院で行っておりますのでご安心ください。

「頭頚部がん」はすべてのがんの中でも5%以下と少ない癌です。しかし、味覚、嗅覚、聴覚、音声・言語、嚥下などと関連する臓器に発生するがんです。機能温存を最大限に生かし、且つ根治性の高い治療を行うことに努める必要があります。そのためには、早期発見・早期治療がいいのは言うまでもありません。

その一助として当院をご利用いただければ幸いです。

今野 信宏(こんの のぶひろ)先生のプロフィール

1998年 札幌医科大学医学部卒業

<専門医等>

・日本耳鼻咽喉科学会専門医

・日本アアレルギー学会認定アレルギー専門医

・日本がん治療認定医機構がん治療認定医

・日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定医

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