みなさんこんにちは。婦人科医の寒河江です。
今回は、女性の検診についてお話させていただきます。
女性の健康は超音波検査とがん検診で安心です。まずは、婦人科疾患のなかで、年代別に手術が必要になる病気を列記すると以下のようになります。
10~20歳代:卵巣腫瘍・HPV感染から子宮頸がん0期
30歳代:妊娠に関連した疾患・子宮頸がん0期・月経困難症・子宮内膜症・卵巣腫瘍・子宮筋腫
40歳代:子宮内膜症・卵巣腫瘍・子宮筋腫・子宮がん
50~60歳代:子宮筋腫・子宮がん・卵巣がん
70歳代以降:卵巣がん・子宮がん・子宮脱
以上のように、子宮と卵巣の病気を中心に年代別にいろいろ病気の種類が変化します。従って、婦人科を受診する勇気を持ってください。そして、経腟超音波とがん検診を受けていただければ上記のほとんどすべての病気が早期に発見できて治療も簡単になります。
外来部門である札幌西孝仁会クリニック婦人科では「生死に関わる子宮頸がん浸潤癌を近隣地域から撲滅しましょう」という心構えで検診を行っています。がん検診としての細胞診(液状検体採取)、子宮頸部の拡大鏡(コルポスコープ診)による精密検診、積極的な細胞診・HPV併用検診の実施、さらにはHPV単独検診などを取り組んでいます。また、2017年より円錐切除という最小手術をも回避すべく液体窒素による子宮頸部冷凍療法にて前がん病変の治療を行っています。また、最新の高性能な超音波、CT、MRIの導入により検査後ただちに画像を転送し患者様に説明を行うシステムを採用し、容易に詳しい説明が可能となっています。このことにより、手術の必要性の可否、悪性度診断などを行い、経過観察や術前診断の精度を高めるべく努力しております。
また、病棟部門である北海道大野記念病院では、広大な手術室フロアーに種々の手術器機をそろえ、開腹手術を極力避け、腹腔鏡手術で低侵襲手術を心がけ、より安心安全な手術を目指しております。子宮頸がんの手術には、ごく初期の前がん病変やがんの場合、子宮頸部を円錐に切除する手術があり数日の入院で済みます。さらに癌が進行していたら子宮の全体を摘出する手術、周辺を拡大してリンパ節も摘出する広汎手術というものがあります。術後の化学療法も病棟や外来化学療法室にて施行しています。
この機会に、ぜひ婦人科検診を受けましょう。
寒河江 悟(さがえ さとる)先生のプロフィール
<現職>
・社会医療法人孝仁会 北海道大野記念病院主任診療部長 兼 婦人科がんセンター長
・社会医療法人孝仁会 札幌西孝仁会クリニック 婦人科部長
<出身大学>
・札幌医科大学医学部卒業(昭和52年)
<専門医等>
・医学博士学位
・日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
・日本婦人科腫瘍学会認定 婦人科腫瘍専門医
・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医
・日本臨床細胞学会認定 細胞診専門医